探求型教育について大人目線と子ども目線でそれぞれ考えよう
最近注目されている探求型教育。実践面のの課題や理想状況は・・・?
《阿部》探求型教育に関わること、どんなことを普段していますか?
《阿部》探求型教育の定義ってなんでしょう?
《中村》物事を、概念的に捉えて、その興味から、多面的に自分で探っていく学習のことをさすのだと思います。
例)毎日、白ご飯を食べる→白ご飯ってもともとお米で出来ている→お米ってどうやって出来るの?どこから来たの?いつから食べられているの?どんな成分?
このような子どもの視点で興味を生み出せるように促していくこと。
《阿部》そうですね。私もそう思います。
気になる点として、大人が用意するモノと、子どもの受け取り方に乖離がある場合があるということですね。
例えば、大人が留学の機会、他校生徒との交流の機会を設けたとすると、
大人目線の考え方だと「他校の生徒とプロジェクトを遂行したことが探求」と定義しがちなんですが、実は子ども目線で考えると、そのプロジェクトを遂行する手前が探求ポイントになっているんですね。
他校の生徒や留学先の生徒との交流で、自分と違う環境にいる人との違いを発見・認識すること!
(喋り方が違うな〜、この環境に慣れているんだな〜、とかそれ自体に興味があるorない等)
このように大人が意図したモノの手前に子どもの成果物があったりします。
大人は機会を与えることはできるけど、与えた上で本人たちの気づきをきちんとhearingしておかないと、意味をなさない。
《中村》なるほど。大ごとである必要はなくて、とても身近な小さなことに対して、子どもたちが、自分の感情の発見をするなど、子どもの目線レベルで考える「価値あるもの」を提供してあげることが大事なんですね。
《阿部》そう、小さな発見・気づきがあれば、それが探求した成果物です。
《中村》大人がゴールを設けてしまうことは、実際ありがちなんじゃないかなと思います。
探求で何が大事かって言うと、なるべく用意されるものが少ない状態で、子どもがその幅を広げる主役になること。
何に焦点を当てるかは子どもによって違うし、そこに個性が現れるものです。
探求型教育は、子どもと大人のコミュニケーション、言葉のキャッチボールの中で成り立つものでもあると思います。 子どもがどう感じ、その反応をみて、大人がどう導くか。何が正解かわからないからこそ、子どもと会話して初めて生まれる成果物があるんです。
プロジェクトの遂行は、探求型教育とは被るところもあるようで、また別の目的を持ちますよね~。
ちなみに探求型学習の目的とは何かというと・・・?
思考力・判断力・主体性を育てる・物事を多面的に見るなどがあたりますよね。
《阿部》探求型教育に関して、コンテンツはなんでもいいと思うんですよ。
言ってしまえば、社会人の在り方もそうですが、大人はみんな探求をしているんです。なので、探求型教育というのは「社会との接続をスムーズにすること」が目的になるはず。
プロジェクトの遂行は社会で必ず必要になることです。大人も自己理解・物事を探求しながら、社会で生き行くものですから、大人にも探求力はつきもので、子どもの課題と等しいのです。 大人が社会でやらないことは、探求型学習ではないと言えますね。
思考力 判断力 主体性・・・
これらは、学習指導要領にもあがっている内容ですが、大人にとって必要なことと子どもにとって必要なことは共通しています。
リカレント教育はキャリアに直結する学び直しの場であり、この教育の感覚を子ども教育に反映させてもいい。
この点について、さゆりさんは、どうでしょう?
《中村》おおむね共感です! 課題は、それらを具体的にどうやって教育の中で養うのかですよね。 学校の外では、スクール・塾などでも探求型教育が行われているのに、なんで学校で十分にできないねん!と思うところはありますね。笑
評価の難しいものですが・・・
親も先生も目に見える成果を重視してしまう傾向があるので、もっと探求に対する優先順位をあげる・探求の必要性を社会に浸透させていきたい。
学校外にちょっとずつは増えているけど、もっと各家族・先生が必要性を感じた上で、行動を起こして欲しい。
目の前のわかりやすい成果、受験、点数というもの以前に、、
探求型教育に関するまとめ
- コンテンツは広く大人が用意するが、本当に探求できているかは子ども目線で確認しなければならない。
- 大人目線で正解・ゴールを明確に決めること、何をどのように探求したのかのプロセスを柔軟に評価する。そして社会につなげる。
- 探求型教育の背景は、社会的ニーズ。その必要性や価値を学校や保護者がさらに深く認識して、教育に反映していく。
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見える力(認知能力)と見えない力(非認知能力)について(探求型教育についてさらに深く見ていこう!)
対談の中から得た気づきから、『子どもにどういう言葉を話しかければいいか?』『どのように接すればいいか?』という現場での実践案を提示していきます!!
学生の進路意識の高まるポイントを考えてみました
生徒の言動から見る進路意識について
《阿部》今まで生徒さんのどんな言動を見て来ました?ありました?
《中村》前回の対談でも話題に上がった、何が好きなのか?って聞いて...何がしたいかわからないという言葉はありますね。実際に興味はあるはずなんですけどね。
《阿部》言動・・・学校や塾では、消極的な子が多いかな? という印象ですかね
《中村》消極的とは例えばどんな…?
《阿部》直近の入試やテストに対しても、とりあえず行きたいところに向けて教科を頑張る。
なりたい職業がわからない。調べもしない。職業に対して、自分ができるとは思っていない。
→原因:情報へのアクセスの仕方がわからないことだと感じます。
一番、情報として落とし込みやすいのは、卒業生を呼んだり、プロを呼んだりして、直接生の話を聞くことだと思いますね。
講演会・外のイベントに行かせても「自分とは別の世界の人」という感覚を持つ。「この人だからできたことなんだろう」という印象になってしまう傾向がある。
《中村》なるほど。逆に、「私絶対これになりたい!」と進路を固めている生徒さんもいますよね。そういった生徒さんの言動としては、
「昔病院で優しくしてもらたり、お世話になった経験から看護師に憧れました」というエピソードは非常によく聞きます。
「悩んでいた時に、心理カウンセラーの人にとてもよく話を聞いてもあったから、私も心理カウンセラーになりたい」など。
同じような志望理由を口にする生徒が多い印象ですね。
・実際にその人を見て来たから
・サポートしてもらったから
共通してるのは、実際にその人と関わりがあったから。
《阿部》さっきの僕の話と共通する点がありますね。生身のプロを実際に見るという。
《中村》give & takeで言う、take が多い分、自分が憧れる可能性は高まるのかもしれないですよね。
つまり「自分事」として受け入れられる経験がkeyですね。
《中村》それでいくと、ただ体験させただけでいいのか?という問題もありますよね。職業体験が意味をなすかという問題…。
《阿部》その為に彼らの中に情報が入りやすいような、大事にしているもの・価値観を聞いておく 洗い出しておく 浮かせておく は大切ですよね。
《中村》価値観を探っておく。そうですね。
他の言動について、「興味はたくさんあるけど、全部分野がバラバラで…。絞れない。絞らなきゃ!」
という生徒さんもいましたね。必ずしも絞る必要もないんじゃないかと思うこともありますが。
《阿部》じゃあそういった意識の生徒さんを、どういう風に進路決定に導きますか?
《中村》①興味のあることをたくさん洗い出してもらう。そして、興味のポイントを分野から具体的な行動部分まで深めて、共通項、軸を探る。
動物を治療してあげる?保護する?世話する?などという風にだんだんと軸が見つかる。
②経験・出来事と感情を聞く。
実際に対面で話を聞いたら温度感も伝わり、そこも探る手立てになる。
どういう満足を得たいのか。行動内容まで深める。共通点を見つけられたら、俯瞰し直す。
働き方として、複数あってもいい。一部を趣味にしてもいい。
「一般的」に囚われる必要はないということを伝えたい。
《阿部》僕も同じような生徒さんと出会いました。
その生徒さんは、最初は獣医だったけど、よくよく聞いていくと、動物が好き、触れ合いたいということだったので、トリマーを選択することになりました。
その子が成績もよかったから、動物系で学力が必要になるものを考えると、獣医がはじめに上がってきたんです。でも本当に本人が大事にしたい在り方は、動物に触れ合いたいのほうだったんですね。
《中村》あ〜確かに成績が良くて、動物が好きなら、獣医を勧める大人の視点ってありますよね。
まとめ
- 偏差値軸(大学入試をゴールとする)での整理はあと。
- 価値観を整理して、共通要素を見出し、行動レベルに落とし込む。
- takeからgiveしたくなるような価値観への訴えかけ(takeの体験:このデザインかっこいいなー)、体験を適宜提供(giveの体験:自分でもデザイン作れる!)できるといいかも
《中村》良い意味で心が動くだけでなく、ネガティブな感情を持った経験を振り返ることも、自分の価値観を知るきっかけになる!例えば、ショックな感情や現状を変えなきゃというと憤り。負のtake(ショック、怒り、憤り)から熱量が生まれ、自分発信の社会貢献、課題解決へ。
進学がゴールになっていないか?〜生徒ひとりひとりが独自のキャリア形成法・自己分析法を確立する必要性〜
大学受験をゴールとしてしまっている現状について
《阿部》指導された生徒さんは、ほとんどが大学受験志望ですか?
《中村》大学志望もしくは専門志望が多かったです。中には就職希望者も。
大学進学を選択する生徒さんの傾向として やりたいことが分からないから大学受験 あるいは偏差値や大学のブランドで大学受験を志望する
目の前のことについて頑張る力は身につきますが、先の将来働くことについてイメージできているのかしらと思うことはありました。
《阿部》確かに。計画を立てて実行する、達成する力はつくけど・・というところですよね
《中村》そうですね。 一方で、専門学校志望・就職志望の生徒は、職業レベルで考えられている。(十分に深められているかは別として)
高校ではとりあえず進学させるということが優先順位として高い印象で、先のことをイメージしずらい環境なのではないかなと思うこともあります。いかがでしょう?
《阿部》実際、高校の先生としても、大学進学を前提としての指導にはなっていました。
A大学のB学部に行きたいんですと希望が決まっている生徒は安心。 どこに進学したいかわからない生徒には、その先の就職のことを考えさせました。 例えば、何が好きなのか、どんな強みを活かして働きたいか等
でも今考えていると、希望が決まっている生徒さんも、先のことを考えさせて自己分析を手助けしてあげられたらよかったなと思います。 進路を決めるという大前提をまずクリアすることが優先順位として高かったと思います。
とはいえ、担任一人で進路、キャリアの設計は難しいですし、 そういうシーンでさゆりさんのような人が必要じゃないかな〜
《中村》現状の学校の職業・進路担当だけだと、単なる「窓口」の役割になりかねないので、キャリアを具体的に個々にサポートしていく常駐キャリアコンサルタントないしは常駐キャリア教育コーディネーターが必要ではないのかと感じますね。
中には、「偏差値重視で大学を選んで、選択肢を広げておきさえできればいいのでは?」とか 、「今は将来のこととか無理に決めなくても、ぼやけていていいんじゃないのか?」とか、そういう大人の意見もあるかもしれないです。
しかし、考え方・内省の仕方はいずれ必要だから、中高生のうちに身につけておいた方がいいと思うんです。いざ就職時の自己分析のやり方ってなかなか教わることできないじゃないですか。
《阿部》就職のときに、自己分析を初めてするのではなく、 もっと若いころ、低学年のころからやってもいいのではないかというのは私も思いますね。
一応、自己分析は学校でも進路指導でやっていたりするんですけど、体系的なものはないんですね。 さゆりさん的には、授業に組み込んだほうがいいと思う?
《中村》週1や月2,3ぐらいでも、日々定期的に授業でやってもいいと思います。
例えば「この1週間を振り返ってみる」ということも、機会がないと、振り返ることができない。
日常の中の気づきや経験が、ただただ時間が経つにつれて、流されていってしまいます・・・。それは大事な機会を逃しているような感覚です。
《阿部》そう考えると、eポートフォリオでは変えられるチャンスではあります!
ただ、これは入試色が強いんですよ。
学校側としては、入試につなげるなら納得して導入しますよね。
自己分析は社会に出ても必要なことではあるけれども、振り返ることとか、授業に組み込むほどではないのではないかと思うかも。
学校は、モラル教育、グローバル教育など、 既存のものだけで、新しいものを柔軟に受け入れにくい傾向もある。
学校の役割も変わってきているはずなんだけど、なかなか体制が変わらない。
一時期は、国が大学受験を斡旋する動きがあったけど、30年前くらいの話で・・・ それが根ずいてしまっているというのはあるかもしれませんね。
でも今や、全員大学に行く必要はないのでは?と思うことはありますね。
高校でもキャリアに触れる機会を増やすことが大事。 興味・関心の分野を決めた子はそのベース軸から次のステップへ自立していく。
《中村》小・中学生よりも、高校生にあがるにつれて、様々なキャリアに触れる機会が減ってしまっていますね。
受験、学習が忙しいので。
《阿部》なるほど。みんなにいろんなキャリアを見せるのも大事だと思っていたけど、 一生使える自己分析の方法を体得することは大事だなと話を聞いていて思いました。
《中村》自己分析も色々な切り口・パターン・方法がありますから。
キャリア形成理論を提唱している研究者の人も沢山いらっしゃる。ひとつひとつ違った角度からキャリアを考えていて。
自分にあったものを選ぶのが大事。あらゆるパターンを教えてあげて、生徒に選んでもらうのが良いですよね。
まとめ
大学に行けば個人と国が安定なんて時代ではない。今は全員大学に行かせるよりも、自分にあった進路選択、キャリア選択をさせることの方が重要。 小中高で様々なキャリアに触れさせる。しかし、その中でも自分の志望が見つからない生徒もいるだろう。 そのために、一生使える自己分析の方法を体得しておく。
◯各ポジションの視点を切り離して考えることも必要。
・国の視点
・教員の視点
・生徒個人のキャリアの視点
進路指導における教員の役割も変わってきている。
無気力系な子どもへのアプローチはどうすればいい?
無気力系でも、自分らしさ・やりたいこと・強みは必ずある
《中村》まず、どういう生徒さんが無気力だと思いますか?
《阿部》いろんな無気力がいましたね・・・。 例えば、授業中に勉強やる気ない生徒さん。休みの日は?と尋ねても、別に特に何もしていない・・と答える生徒さんとか。 学校で与えられている勉強はある程度真面目にやるのに、趣味の自由な部分で無気力な生徒さんがいましたね。 逆に授業中、勉強に無気力な子ほど、休み時間に自由にやりたいことに全力だったりしていましたね。 さゆりさんの見てきた生徒さんはどうでした?
《中村》私が見てきたのは、結構進路に対しての話になりますが、「とりあえず安定した職につけたらそれでいい」。「〜がいい」じゃなくて「〜でいいや」というスタンスの生徒さんがいました。みんなが進路を決める時期だから、仕方なく選ぶという印象はありましたね。
《阿部》ちなみに、そういう生徒さんにどうアプローチしてました?
《中村》まずは、「安定したいんだね。」というように受容して認めることはしていましたね。 そのあとに、「安定ってどういうことだと思う?」って聞いたら色々出てくるんです。 「給料がそこそこいい」とか、「本当はできれば働きたくないんですよー」とか。 もっと話を聞いていくと「あまり、やりたいことがなくて」「興味があることがわからない」とか。 安定でいいやって言いながらも、本当は自分のやりたいこと探したいと思っていたりして。 本人の価値観を探っていく感覚ですね。
《阿部》なるほどー。入り口は安定というワードだけど、掘り下げると、本人らしい価値観にたどり着くってころですよね。 今の話を聞いていて、ドラゴン桜の作者が書いたエンゼルバンクという漫画を思い出しました。大人版ドラゴン桜で、主人公が転職エージェントになって面接していくのですが、三つの要素で何を重視していますか?というのが出てきます。3つの要素 安定・やりがい・労働時間というのがあって。 これを思い出して、最初から安定を重視する人というのは、やりたいことがないという人もいるのではないかなと・・・ 仕事にやりがいを見い出す人もいれば、仕事ではなくてその他の生活や趣味に喜びを感じる人もいるんですけどね。 何に対して人生楽しいと重きをおくかということを考え続けるものですよね。
《中村》仕事に自分のやりがい・幸せを見い出す人がいる。一方で仕事は稼ぐ手段で、他にやりたいことがある人がいる。ということですね。
《阿部》なるほど!目的を仕事内に置くか、仕事外に置くかですね!
《中村》あと生徒と話していて思うのは、 興味の分野までは考えられても、その先の自分の活かし方・職種の選び方の詰めができているのかな?というところです。 動物が好きだからトリマーという生徒さんがいるけれど、他にも動物との関わり方はある。 飼育する人?治療する人? ゲームの業界に興味が有ると言っても、 自分はプレイヤーなのかもしれないし、企画する人なのかもしれないし、エンジニアなのかもしれないし、はたまた営業(売る人)なのかもしれない。 どこで自分の力を発揮させるのかを高校生に意識させた。
《阿部》なるほど!
《中村》趣味を仕事にするのはつらいなと思うパターンは、ジャンルだけでざっくり決めることなのかなって。まぁでも実際にやってみないとわからないこともあるでしょうし、やってみて違うなと思うことももちろん大事なんですけどね!笑阿部さんは、どういう風にアプローチしますか?
《阿部》私も本人の言葉とかジャンルを細かく詰めていくことはしていました。 例えば、ゲームが好きというのなら、「どういう時楽しかった?」と尋ねてみる。 すると、「お父さんとやった時が楽しかった。協力してプレイするのが楽しかったから。」 この会話から、協力してやっていくことに喜びを感じるのかなと見立てる。 じゃあ、制作・企画なども合うのではないかな?と職業につなげていくこともできますね。 就職に繋がる価値観が見えてくる可能性がありますね。 もう一つ【やればできるを増やしてあげる】という意識もしていました。 日頃、勉強が苦手な生徒でも、その子が小さく成功する機会はたくさんあって、例えば英単語のテストが5点から20点にあげったこととか、些細なことでも見逃さずに褒める。自己肯定感あげて、本人の意思表現の自信をつけて、何が好きなのか探っていくなどです。 ☆傾向として、私これがやりたい!と堂々と言える子は、テストや学校内の物事がスムーズにうまくいっていることが多いように思っていました。 日頃から認められている分、自分を認められている。自分は大丈夫だという自己肯定感が高い。だから、堂々と自分のやりたいことが何かを言える。という風につながっているなというのは感じましたね。
《中村》自己肯定感大事ですよね。 安心して自己表現ができる。 自分を信じることができてる。 逆にうまく言ってなかったりすると、自分の力を信じられないんですね。
《阿部》これって、大人でもありますよね。自己肯定感を大事にする。 成功している経営者の方はよくジムでトレーニングをしているそうですが、小さな成功体験を積んで自分に自信をつけることが目的の1つだそうで。
《阿部》いいですね! そっか、ルーティーンもまた自分の自信になりますよね。自分を整えるというか
《中村》そうですね。 「無気力な生徒へのアプローチ」のテーマから結構広がりましたね!笑 料理とかも、自分の自信というかストレス発散になる。 「健康的なものを食べてるという」自分を整える時間ですね。 阿部さんのアプローチのポイントは、【自己肯定感】ですね!!
《阿部》そうですね。 今気づいたんですけど、無気力の反対が「自信」や「自己肯定感」って言葉かなと。 前に、ベテランの先生が言っていました。 「どの生徒も勉強以外に褒めるところはある。 褒めるところがもしないのであれば、それは先生の力不足であり、見る目がないんだ。」 と。
まとめ
- 自己肯定感を育成しよう!
- でもそのためにいきなり褒めるのはNG。なぜなら、自分ごととして受け入れてもらえないし、「お前誰やねん?私の何知ってんねん!」になるから。
- まずは価値観を知り、認めてあげて、信頼関係を作る(深掘り)
- それがあって初めて、褒めた言葉が子どもに伝わる
ペアブランディング〜高校生にキャリア教育コンテンツを届けるために〜
進路・キャリアカウンセラーさゆぺく個人の頭の中
・中学生の保護者向けセミナーを自主開催
→半年間くらいのスパンで日程と内容のスケジュールを組みたい。
・キャリアコンサルタントの勉強
・社会人向けのコミュニケーション・メンタルコーチングの講義作り
・企業と提携して教材制作・企画業務。
ぼんやり考えていること
ブランディングを加速・安定させるべく、コンテンツを作る
経験からくる考えや思いのアウトプットとイベントを行ったログ
がコンテンツになりうる。
・自己理解 ・さゆぺくのカウンセリング実践、ワークショップ例
・あべべの指導例、ITツールが教育市場に
・国内学校様相、海外動向(マクロ)
本を出すためのTo Do
1.さゆぺくブログをカテゴライズする
・現状:伝えたいことを自由に発信している
2:内容をカテゴリーごとに章立てをする
3:【肉付け】ブログ内容について阿部が突っ込んでいく対話形式
4:【肉付け】阿部経験談視点をたまに入れる
5:今後の方向性を示す
〜本日の対談の様子〜
阿部先生が実践した「his story」を作るキャリア教育の秘策
阿部先生(あべべ)が教員時代に実践した進路指導、キャリア教育の基本姿勢をヒアリングしてみた。生徒-先生の関係のみに固着しない、かつ高校時代だけの局所的でない実践内容を振り返る!
- 教員時代、阿部先生が思っていたこと
- どうしてうまくいかなかったのか?
- 状況改善のために試してみたコト
- キャリア支援における大切な気づき
- 良い関係を築いたら・・・
- ICTのトレンドも個々へのアプローチへ
教員時代、阿部先生が思っていたこと
学校での進路指導の話。進路、キャリアのためにガイダンスの機会を与えたり、本や情報誌を渡したり、たくさんの情報を与えた。そうすれば彼らは自分に合った職業や大学を1つは見つけてくれるに違いない。
しかし、彼らの中には情報が入っていかなかった。自分事として情報を吸収してくれなかった。
どうもうまくいかなかった。
どうしてうまくいかなかったのか?
彼らに情報が入っていかなかったのは、
『信頼関係を築けていない』 『本人のこと、強み、弱み、嗜好などをよく知らない』
が原因だ。担任になってから1ヶ月そこらの生徒のことをよく理解しておらず、信頼関係も構築できていなかった。
よって、上部の理解だけの指導をしてしまった。職業-学問-大学を機械的に当てはめるような指導スタイルになってしまっていた。
まずは生徒のことをもっと多面的によく知る必要があった。
状況改善のために試してみたコト
その子のことを最もよく知る「親」を巻き込んだ。 親の頭にはその子の人生記録が入っている。何が好きで、何が苦手で、どんなことに情熱を注いできたか。
具体的に、SNS、電話を使って親と情報共有を密に行った。結果的に、本人との面談だけでは気付けない情報を多く知ることができ、生徒をいろんな角度から褒めたり評価することができた。そうしていくうちに、信頼関係も自然と構築されていった。
キャリア支援における大切な気づき
キャリア支援において、本人と1対1で向き合い、過去の経験も含めてしっかりと知ることが大切。それはすなわち、 history=his story を作る!!ことである。
良い関係を築いたら・・・
親を通じて、「アベ先生はいい先生よ。あなたのことを褒めてったわよ。なんでも相談しなさい」という具合に、間接的に生徒との信頼関係を徐々に構築できてきた。
親と一緒に生徒のstoryを考えることによって、生徒に話が染み込むようにもなっていった。
何が好きか、どんなことをしたか、何を思ったかの経験ログの積み重ねは、人生において、とても大事だと感じた。
先生一人では彼のストーリーを作ることはできない。その子に加えて、親や関わってきた人すべての情報が必要である。
ICTのトレンドも個々へのアプローチへ
cf:eポートフォリオ
「eポートフォリオ」とは、部活や学校外の活動成果など、高校生活のさまざまな活動の記録をデジタル化して残すことができるシステム。
自分でつけた記録を、先生にもシェアすることができる。
日々の活動を振り返ることで、自分と向き合う力、思考力、判断力、そして自ら次の目標を立てて進む習慣につながる。
そのeポートフォリオは一生涯を通して構築する。小学校、中学校、高校のそれぞれの段階で先生が構築のサポートをする。友人からもフィードバックをもらう。
1つの線となったその子のストーリーは、就職試験や大人になってからの学びにおいても、自分を振り返ることを助けてくれる。
社会とのつながりを意識した自己分析(内観法)について
学生時代、自己流の自己分析ではキャリア観は身につかなかった
《阿部》中村さんの10代の頃のストーリーを聞きたいです!
《中村》私のストーリーはですね・・・、高校時代、全く将来のビジョンが見えなかったんです。自分が何に当てはまるのか全く見えなくて、とりあえず大学受験をした方がいいという考えでした。業界や職業を知る機会があまりなかったこと、そもそも働くというイメージを湧かせることもできなかったです。知ることができるとすると、自分の家族の仕事や、教師、日常で出会う数少ない職業だったかも、、将来の働くビジョンはあまり描けないまま進学していたと思います。
《阿部》ざっくりとしたイメージもありませんでした?例えば、黙々と作業に取り組むような仕事か、人と積極的に関わる外交的な仕事かなど・・・
《中村》その2つの仕分けはせずに、スケジュールをいっぱいにして、イキイキ、エネルギッシュに働けたらいいな〜くらいのイメージがありました。(笑)
《阿部》そういうイメージですね!なるほど!(笑)
《中村》はい。進路を決める時は、とりあえず受験をして大学に行く事が目的になってしまっていましたね・・・。分野も、興味のあるモノが語学・英語系しか思い当たらなくて、少し消去法に近いような形でした。語学を学ぶ事でより多くの人と交流できるし、好きだから良かったんですけどね。大学へ進学して、やりたい事もやっていたんですけど、働くビジョンというものが具体的に持てない状況は続きました。
《阿部》へぇ〜。語学となると範囲がかなり狭くなりませんか?
《中村》たしかに、語学だけだとそうですね。選択する時も、語学は好きだけど、それで食べていけるのは人握りでかなり追求が必要というのはわかっていました。でも、語学はどんなフィールドでも活用するシーン、需要はあるモノなので、学んで損はないかなという考えでした。
《阿部》大学生時代はどういう風に過ごされていたんですか?
《中村》大学時代は、学部の勉強と、ESSという英語を用いた活動をするサークルにどっぷりでしたね。何を選択するのも自分の”成長意欲”が基準となっていたと思います。「社会に出るために必要な自分にはまだないスキルを得るため」ですとか、「自分ができることを立証するため」の選択が多かったです。自分の「できる」の実感値を増やしたかったんでしょうね。学生時代のアルバイトも営業系でしたし、周りからは、人と接するサービス業とかが向いているんじゃないかって結構言われました。実際に、就職してからも営業をずっとやってこれたので
《阿部》なるほど。さゆりさんはどちらかと言うと、好きだからというよりもむしろ、自分にないモノを身に付けたいという基準で選択して来られたんですね。私は、結構それとは真逆でしたよ。
《中村》え!!それは気になります!
《阿部》私は、自分にとって楽しいことや強みを伸ばして、尖らせていくタイプでしたね。大学に入って勉強していると、この先は工学研究者などに向かいそうだったのですが、自分は話すことが好きで、一人で黙々と行う仕事は違うなと思ったので、教育方面に転換しました。もちろん、苦手なことも学ぶ機会がありましたが、アルバイトも塾講師で人との関わりの多い経験をして、主に自分の強みを伸ばせることに注力してきましたね。
《中村》楽しいことや強みを尖らせることが一番良いことだと思います。私の取り組みたいと思う動機は少し違いましたね。好きなことを思うまま選ぶ人と、そうではなく違った動機でを選ぶ人がいるのは確かですね。
《阿部》スキル系のに焦点を当てて今話しましたが、さゆりさんの活動の中にある「自己理解」「内観」というものは、学生時代もしてこられたんですか?
《中村》していましたね。みんなあらゆる経験の中でしていることだと思うんですが、私も元々自己流でやっていました。ただ、いろんな気づきがあっても、キャリアや進路につなげるための考え方はわかっていなかったので、内面の洗い出し方とか見つめ方は、とても非効率なものだったと思います。社会に実際に出て、今日に至るまでに、こういう自己理解のやり方が必要なんだ!!とわかってきました。だからこそ、今の学生たちに伝えたいです!!
見えるスキル(成果物)と見えづらいスキル(自分の良さ)
《中村》阿部さんの自分の強みを考える方法について聞きたいです!
《阿部》自分の強みを知るための一つには、形に残る賞、人に評価された経験、実績、資格などがありますよね。目に見えて、証明されるわけなので。
《中村》確かに、そういう実績として残るものの存在は大きいですよね。阿部さんは例えばどんな実績を得られましたか?
《阿部》昔の塾講師時代には、指導力の大会などがあって、教室1位や都内3位等。評価してもらえて自信に繋がりましたね。
《中村》すごいですね!!私、そういう大会で表彰があってもあんまり自信に繋がらなかったこともありました。自己肯定感が低い(笑)おそらく自分が納得していなかったら、たとえ評価してもらえたとしても自己肯定感は上がらないんだと思います。自分の求めるゴールのハードルが高いのか・・・。
《阿部》僕は単純なので(笑)、自信に繋がりました。目に見える形の実績の価値を重要視する人もいるかと。けど、人によっては、形ある評価でも自己肯定に繋がらない人もいるはずです。さゆりさんは、どういう時に、自己肯定感が上がりましたか?
《中村》う〜ん・・・もし自分の発言や行動で「人に良い影響を与えられたな」と思えたり、「人に必要とされている」と感じたり、そんな時に自己肯定感が上がりました!
《阿部》なるほど。私も教員だったころ、とても嬉しかったのは、卒業生が会いに来てくれて、「あの頃の先生は嫌だったけど…、今はとても感謝してるよ」と言ってくれもらったことですね。自分にしか与えられない影響を与えられた!って思えました。教師の指導は、生徒が卒業したら無くなるので、形として残るものがあまりないんですよ。自分の教え子からのそういう一言一言が一番元気をもらいますし、自己肯定やモチベーションになりました。
《中村》今の話を聞いていて、「人との関わり方」って、ポイントだなと思いました。人に何かを伝える時、優しい言葉で伝える人もいれば、厳しい言葉で相手に理解させようとする人もいる。声かけの頻度も人それぞれ。そのスタンスに一番自分のキャラクターが出ますよね。"自分らしく"で人に良い影響を与えられた時に、自己肯定感をえるんだと思います。「これでいいんだ!」「これで価値を与えられるんだ!」という自分の中の型・モデルが出来上がります。
《阿部》確かに、それは良い視点!
《中村》形としては見えづらいけれど、自分が自分らしく居られた結果、自然に出たものが、誰かに影響を与えられたら、嬉しいという実感値が上がりますよね!自分のキャラクターを知ることから、自分にとってのあるべきスタンスや正解が生まれるんだと思います。
《阿部》すごく納得します。実際に企業の中のチームでも、自分の良いところ・課題を書き出して、見せ合い、意見を交換するワークをやったりするんです。目的は"お互いを認め合う"ということ。そして、心理的安全性を高めるということです。「そのままのあなたが立派だよ」っていうことを証明するようなワークですね。
《中村》そのワークとても良いですね!!思ったんですけど、就職活動などのエントリーシートで「あなたは人にどんな影響を与えてきましたか?」といった質問を見かけることがありますね。それに対して、学生さんたちって、何かの活動の実績とか、きちんとした成果を書かなきゃと思ってしまう傾向にあると思うんです。でも、このESで聞きたい「人への影響」って、自分のもっと身近な経験で良いと思うんです。人との関わりの中でどういうキャラクターなのかというのが重要だったりします。学生さんたちには、そういう自己分析の本当の意味を理解して、PRに落とし込んでほしいんですよ。自分が自分を見る時のポイント、捉え方を知らせたいですね。「自分なんか・・・」って思っている人がいたら救われますし、逆に自信がとてもある人も本当の自分の見せ方を学ぶことができます。 実際、仕事をしていても、営業やプレゼンに関しては、自分のキャラクターを知った上で、パフォーマンスする方が効果的なんです。
《阿部》確かに。私もいつも営業で心がけています。お客さんに、自分がどういう人間なのか、どんな経験をして、今この仕事をしているのか伝えています。商品を売るというより、信頼関係を築いていく方が好きですね。
《中村》本当に、それは大事です。そういうことは実際に働いていない学生の時には知ることができないことですよね。でも知った方が良いと思うんですよね。
《阿部》この今のお話で「強み」の捉え方として大切な2つのポイントが見えてきましたね。
- 見える強み・スキル(成果物など)
- 見えづらい強み・スキル(自分の自然な良さ)
体系的な、つながりのある、ストーリーになる内観法を高校生に提示していきましょう。
まとめ〜これからの取り組み〜
我々が高校生へ提供するモノ
《具体策》
- 自分という存在の探り方
- 主観的かつ客観的な捉え方
- 相手に伝わりやすい構成法