学校の外からキャリア教育を考える

数学教師からITベンチャーに入社したあべべと、3000人以上の進路カウンセリング経験を持つさゆぺくが、これからの時代の高校生のキャリア教育について対談し、考えを発信していきます!

無気力系な子どもへのアプローチはどうすればいい?

無気力系でも、自分らしさ・やりたいこと・強みは必ずある

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《中村》まず、どういう生徒さんが無気力だと思いますか?

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《阿部》いろんな無気力がいましたね・・・。 例えば、授業中に勉強やる気ない生徒さん。休みの日は?と尋ねても、別に特に何もしていない・・と答える生徒さんとか。 学校で与えられている勉強はある程度真面目にやるのに、趣味の自由な部分で無気力な生徒さんがいましたね。 逆に授業中、勉強に無気力な子ほど、休み時間に自由にやりたいことに全力だったりしていましたね。 さゆりさんの見てきた生徒さんはどうでした?

《中村》私が見てきたのは、結構進路に対しての話になりますが、「とりあえず安定した職につけたらそれでいい」。「〜がいい」じゃなくて「〜でいいや」というスタンスの生徒さんがいました。みんなが進路を決める時期だから、仕方なく選ぶという印象はありましたね。

《阿部》ちなみに、そういう生徒さんにどうアプローチしてました?

《中村》まずは、「安定したいんだね。」というように受容して認めることはしていましたね。 そのあとに、「安定ってどういうことだと思う?」って聞いたら色々出てくるんです。 「給料がそこそこいい」とか、「本当はできれば働きたくないんですよー」とか。 もっと話を聞いていくと「あまり、やりたいことがなくて」「興味があることがわからない」とか。 安定でいいやって言いながらも、本当は自分のやりたいこと探したいと思っていたりして。 本人の価値観を探っていく感覚ですね。

《阿部》なるほどー。入り口は安定というワードだけど、掘り下げると、本人らしい価値観にたどり着くってころですよね。 今の話を聞いていて、ドラゴン桜の作者が書いたエンゼルバンクという漫画を思い出しました。大人版ドラゴン桜で、主人公が転職エージェントになって面接していくのですが、三つの要素で何を重視していますか?というのが出てきます。3つの要素 安定・やりがい・労働時間というのがあって。 これを思い出して、最初から安定を重視する人というのは、やりたいことがないという人もいるのではないかなと・・・ 仕事にやりがいを見い出す人もいれば、仕事ではなくてその他の生活や趣味に喜びを感じる人もいるんですけどね。 何に対して人生楽しいと重きをおくかということを考え続けるものですよね。

《中村》仕事に自分のやりがい・幸せを見い出す人がいる。一方で仕事は稼ぐ手段で、他にやりたいことがある人がいる。ということですね。

《阿部》なるほど!目的を仕事内に置くか、仕事外に置くかですね!

《中村》あと生徒と話していて思うのは、 興味の分野までは考えられても、その先の自分の活かし方・職種の選び方の詰めができているのかな?というところです。 動物が好きだからトリマーという生徒さんがいるけれど、他にも動物との関わり方はある。 飼育する人?治療する人? ゲームの業界に興味が有ると言っても、 自分はプレイヤーなのかもしれないし、企画する人なのかもしれないし、エンジニアなのかもしれないし、はたまた営業(売る人)なのかもしれない。 どこで自分の力を発揮させるのかを高校生に意識させた。

《阿部》なるほど!

《中村》趣味を仕事にするのはつらいなと思うパターンは、ジャンルだけでざっくり決めることなのかなって。まぁでも実際にやってみないとわからないこともあるでしょうし、やってみて違うなと思うことももちろん大事なんですけどね!笑阿部さんは、どういう風にアプローチしますか?

《阿部》私も本人の言葉とかジャンルを細かく詰めていくことはしていました。 例えば、ゲームが好きというのなら、「どういう時楽しかった?」と尋ねてみる。 すると、「お父さんとやった時が楽しかった。協力してプレイするのが楽しかったから。」 この会話から、協力してやっていくことに喜びを感じるのかなと見立てる。 じゃあ、制作・企画なども合うのではないかな?と職業につなげていくこともできますね。 就職に繋がる価値観が見えてくる可能性がありますね。 もう一つ【やればできるを増やしてあげる】という意識もしていました。 日頃、勉強が苦手な生徒でも、その子が小さく成功する機会はたくさんあって、例えば英単語のテストが5点から20点にあげったこととか、些細なことでも見逃さずに褒める。自己肯定感あげて、本人の意思表現の自信をつけて、何が好きなのか探っていくなどです。 ☆傾向として、私これがやりたい!と堂々と言える子は、テストや学校内の物事がスムーズにうまくいっていることが多いように思っていました。 日頃から認められている分、自分を認められている。自分は大丈夫だという自己肯定感が高い。だから、堂々と自分のやりたいことが何かを言える。という風につながっているなというのは感じましたね。

《中村》自己肯定感大事ですよね。 安心して自己表現ができる。 自分を信じることができてる。 逆にうまく言ってなかったりすると、自分の力を信じられないんですね。

《阿部》これって、大人でもありますよね。自己肯定感を大事にする。 成功している経営者の方はよくジムでトレーニングをしているそうですが、小さな成功体験を積んで自分に自信をつけることが目的の1つだそうで。

《中村》へ〜!成功者はそうやって、コントロールするんですね。 私も筋トレしますよ。笑 ルーティーンを作りたくて、毎朝白湯を飲む、ストレッチをするとか、ですかね。

《阿部》いいですね! そっか、ルーティーンもまた自分の自信になりますよね。自分を整えるというか

《中村》そうですね。 「無気力な生徒へのアプローチ」のテーマから結構広がりましたね!笑 料理とかも、自分の自信というかストレス発散になる。 「健康的なものを食べてるという」自分を整える時間ですね。 阿部さんのアプローチのポイントは、【自己肯定感】ですね!!

《阿部》そうですね。 今気づいたんですけど、無気力の反対が「自信」や「自己肯定感」って言葉かなと。 前に、ベテランの先生が言っていました。 「どの生徒も勉強以外に褒めるところはある。 褒めるところがもしないのであれば、それは先生の力不足であり、見る目がないんだ。」 と。

まとめ

  1. 自己肯定感を育成しよう!
  2. でもそのためにいきなり褒めるのはNG。なぜなら、自分ごととして受け入れてもらえないし、「お前誰やねん?私の何知ってんねん!」になるから。
  3. まずは価値観を知り、認めてあげて、信頼関係を作る(深掘り)
  4. それがあって初めて、褒めた言葉が子どもに伝わる
こちらも更新しています。よろしくお願いいたします。