学校の外からキャリア教育を考える

数学教師からITベンチャーに入社したあべべと、3000人以上の進路カウンセリング経験を持つさゆぺくが、これからの時代の高校生のキャリア教育について対談し、考えを発信していきます!

社会とのつながりを意識した自己分析(内観法)について

学生時代、自己流の自己分析ではキャリア観は身につかなかった

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《阿部》中村さんの10代の頃のストーリーを聞きたいです!

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《中村》私のストーリーはですね・・・、高校時代、全く将来のビジョンが見えなかったんです。自分が何に当てはまるのか全く見えなくて、とりあえず大学受験をした方がいいという考えでした。業界や職業を知る機会があまりなかったこと、そもそも働くというイメージを湧かせることもできなかったです。知ることができるとすると、自分の家族の仕事や、教師、日常で出会う数少ない職業だったかも、、将来の働くビジョンはあまり描けないまま進学していたと思います。

《阿部》ざっくりとしたイメージもありませんでした?例えば、黙々と作業に取り組むような仕事か、人と積極的に関わる外交的な仕事かなど・・・

《中村》その2つの仕分けはせずに、スケジュールをいっぱいにして、イキイキ、エネルギッシュに働けたらいいな〜くらいのイメージがありました。(笑)

《阿部》そういうイメージですね!なるほど!(笑)

《中村》はい。進路を決める時は、とりあえず受験をして大学に行く事が目的になってしまっていましたね・・・。分野も、興味のあるモノが語学・英語系しか思い当たらなくて、少し消去法に近いような形でした。語学を学ぶ事でより多くの人と交流できるし、好きだから良かったんですけどね。大学へ進学して、やりたい事もやっていたんですけど、働くビジョンというものが具体的に持てない状況は続きました。

《阿部》へぇ〜。語学となると範囲がかなり狭くなりませんか?

《中村》たしかに、語学だけだとそうですね。選択する時も、語学は好きだけど、それで食べていけるのは人握りでかなり追求が必要というのはわかっていました。でも、語学はどんなフィールドでも活用するシーン、需要はあるモノなので、学んで損はないかなという考えでした。

《阿部》大学生時代はどういう風に過ごされていたんですか?

《中村》大学時代は、学部の勉強と、ESSという英語を用いた活動をするサークルにどっぷりでしたね。何を選択するのも自分の”成長意欲”が基準となっていたと思います。「社会に出るために必要な自分にはまだないスキルを得るため」ですとか、「自分ができることを立証するため」の選択が多かったです。自分の「できる」の実感値を増やしたかったんでしょうね。学生時代のアルバイトも営業系でしたし、周りからは、人と接するサービス業とかが向いているんじゃないかって結構言われました。実際に、就職してからも営業をずっとやってこれたので

《阿部》なるほど。さゆりさんはどちらかと言うと、好きだからというよりもむしろ、自分にないモノを身に付けたいという基準で選択して来られたんですね。私は、結構それとは真逆でしたよ。

《中村》え!!それは気になります!

《阿部》私は、自分にとって楽しいことや強みを伸ばして、尖らせていくタイプでしたね。大学に入って勉強していると、この先は工学研究者などに向かいそうだったのですが、自分は話すことが好きで、一人で黙々と行う仕事は違うなと思ったので、教育方面に転換しました。もちろん、苦手なことも学ぶ機会がありましたが、アルバイトも塾講師で人との関わりの多い経験をして、主に自分の強みを伸ばせることに注力してきましたね。

《中村》楽しいことや強みを尖らせることが一番良いことだと思います。私の取り組みたいと思う動機は少し違いましたね。好きなことを思うまま選ぶ人と、そうではなく違った動機でを選ぶ人がいるのは確かですね。

《阿部》スキル系のに焦点を当てて今話しましたが、さゆりさんの活動の中にある「自己理解」「内観」というものは、学生時代もしてこられたんですか?

《中村》していましたね。みんなあらゆる経験の中でしていることだと思うんですが、私も元々自己流でやっていました。ただ、いろんな気づきがあっても、キャリアや進路につなげるための考え方はわかっていなかったので、内面の洗い出し方とか見つめ方は、とても非効率なものだったと思います。社会に実際に出て、今日に至るまでに、こういう自己理解のやり方が必要なんだ!!とわかってきました。だからこそ、今の学生たちに伝えたいです!!

見えるスキル(成果物)と見えづらいスキル(自分の良さ)

《中村》阿部さんの自分の強みを考える方法について聞きたいです!

《阿部》自分の強みを知るための一つには、形に残る賞人に評価された経験実績資格などがありますよね。目に見えて、証明されるわけなので。

《中村》確かに、そういう実績として残るものの存在は大きいですよね。阿部さんは例えばどんな実績を得られましたか?

《阿部》昔の塾講師時代には、指導力の大会などがあって、教室1位や都内3位等。評価してもらえて自信に繋がりましたね。

《中村》すごいですね!!私、そういう大会で表彰があってもあんまり自信に繋がらなかったこともありました。自己肯定感が低い(笑)おそらく自分が納得していなかったら、たとえ評価してもらえたとしても自己肯定感は上がらないんだと思います。自分の求めるゴールのハードルが高いのか・・・。

《阿部》僕は単純なので(笑)、自信に繋がりました。目に見える形の実績の価値を重要視する人もいるかと。けど、人によっては、形ある評価でも自己肯定に繋がらない人もいるはずです。さゆりさんは、どういう時に、自己肯定感が上がりましたか?

《中村》う〜ん・・・もし自分の発言や行動で「人に良い影響を与えられたな」と思えたり、「人に必要とされている」と感じたり、そんな時に自己肯定感が上がりました!

《阿部》なるほど。私も教員だったころ、とても嬉しかったのは、卒業生が会いに来てくれて、「あの頃の先生は嫌だったけど…、今はとても感謝してるよ」と言ってくれもらったことですね。自分にしか与えられない影響を与えられた!って思えました。教師の指導は、生徒が卒業したら無くなるので、形として残るものがあまりないんですよ。自分の教え子からのそういう一言一言が一番元気をもらいますし、自己肯定やモチベーションになりました。

《中村》今の話を聞いていて、「人との関わり方」って、ポイントだなと思いました。人に何かを伝える時、優しい言葉で伝える人もいれば、厳しい言葉で相手に理解させようとする人もいる。声かけの頻度も人それぞれ。そのスタンスに一番自分のキャラクターが出ますよね。"自分らしく"で人に良い影響を与えられた時に、自己肯定感をえるんだと思います。「これでいいんだ!」「これで価値を与えられるんだ!」という自分の中の型・モデルが出来上がります。

《阿部》確かに、それは良い視点!

《中村》形としては見えづらいけれど、自分が自分らしく居られた結果、自然に出たものが、誰かに影響を与えられたら、嬉しいという実感値が上がりますよね!自分のキャラクターを知ることから、自分にとってのあるべきスタンス正解が生まれるんだと思います。

《阿部》すごく納得します。実際に企業の中のチームでも、自分の良いところ・課題を書き出して、見せ合い、意見を交換するワークをやったりするんです。目的は"お互いを認め合う"ということ。そして、心理的安全性を高めるということです。「そのままのあなたが立派だよ」っていうことを証明するようなワークですね。

《中村》そのワークとても良いですね!!思ったんですけど、就職活動などのエントリーシートで「あなたは人にどんな影響を与えてきましたか?」といった質問を見かけることがありますね。それに対して、学生さんたちって、何かの活動の実績とか、きちんとした成果を書かなきゃと思ってしまう傾向にあると思うんです。でも、このESで聞きたい「人への影響」って、自分のもっと身近な経験で良いと思うんです。人との関わりの中でどういうキャラクターなのかというのが重要だったりします。学生さんたちには、そういう自己分析の本当の意味を理解して、PRに落とし込んでほしいんですよ。自分が自分を見る時のポイント、捉え方を知らせたいですね。「自分なんか・・・」って思っている人がいたら救われますし、逆に自信がとてもある人も本当の自分の見せ方を学ぶことができます。 実際、仕事をしていても、営業やプレゼンに関しては、自分のキャラクターを知った上で、パフォーマンスする方が効果的なんです。

《阿部》確かに。私もいつも営業で心がけています。お客さんに、自分がどういう人間なのか、どんな経験をして、今この仕事をしているのか伝えています。商品を売るというより、信頼関係を築いていく方が好きですね。

《中村》本当に、それは大事です。そういうことは実際に働いていない学生の時には知ることができないことですよね。でも知った方が良いと思うんですよね。

《阿部》この今のお話で「強み」の捉え方として大切な2つのポイントが見えてきましたね。

  1. 見える強み・スキル(成果物など)
  2. 見えづらい強み・スキル(自分の自然な良さ)

体系的なつながりのあるストーリーになる内観法を高校生に提示していきましょう。

まとめ〜これからの取り組み〜

我々が高校生へ提供するモノ

見える強み・スキルと、見えづらい強み・スキルを発見しよう!

《具体策》

  • 自分という存在の探り方
  • 主観的かつ客観的な捉え方
  • 相手に伝わりやすい構成法

我々の内観ワークのつくり方のベース

こちらも更新しています。よろしくお願いいたします。