阿部先生が実践した「his story」を作るキャリア教育の秘策
阿部先生(あべべ)が教員時代に実践した進路指導、キャリア教育の基本姿勢をヒアリングしてみた。生徒-先生の関係のみに固着しない、かつ高校時代だけの局所的でない実践内容を振り返る!
- 教員時代、阿部先生が思っていたこと
- どうしてうまくいかなかったのか?
- 状況改善のために試してみたコト
- キャリア支援における大切な気づき
- 良い関係を築いたら・・・
- ICTのトレンドも個々へのアプローチへ
教員時代、阿部先生が思っていたこと
学校での進路指導の話。進路、キャリアのためにガイダンスの機会を与えたり、本や情報誌を渡したり、たくさんの情報を与えた。そうすれば彼らは自分に合った職業や大学を1つは見つけてくれるに違いない。
しかし、彼らの中には情報が入っていかなかった。自分事として情報を吸収してくれなかった。
どうもうまくいかなかった。
どうしてうまくいかなかったのか?
彼らに情報が入っていかなかったのは、
『信頼関係を築けていない』 『本人のこと、強み、弱み、嗜好などをよく知らない』
が原因だ。担任になってから1ヶ月そこらの生徒のことをよく理解しておらず、信頼関係も構築できていなかった。
よって、上部の理解だけの指導をしてしまった。職業-学問-大学を機械的に当てはめるような指導スタイルになってしまっていた。
まずは生徒のことをもっと多面的によく知る必要があった。
状況改善のために試してみたコト
その子のことを最もよく知る「親」を巻き込んだ。 親の頭にはその子の人生記録が入っている。何が好きで、何が苦手で、どんなことに情熱を注いできたか。
具体的に、SNS、電話を使って親と情報共有を密に行った。結果的に、本人との面談だけでは気付けない情報を多く知ることができ、生徒をいろんな角度から褒めたり評価することができた。そうしていくうちに、信頼関係も自然と構築されていった。
キャリア支援における大切な気づき
キャリア支援において、本人と1対1で向き合い、過去の経験も含めてしっかりと知ることが大切。それはすなわち、 history=his story を作る!!ことである。
良い関係を築いたら・・・
親を通じて、「アベ先生はいい先生よ。あなたのことを褒めてったわよ。なんでも相談しなさい」という具合に、間接的に生徒との信頼関係を徐々に構築できてきた。
親と一緒に生徒のstoryを考えることによって、生徒に話が染み込むようにもなっていった。
何が好きか、どんなことをしたか、何を思ったかの経験ログの積み重ねは、人生において、とても大事だと感じた。
先生一人では彼のストーリーを作ることはできない。その子に加えて、親や関わってきた人すべての情報が必要である。
ICTのトレンドも個々へのアプローチへ
cf:eポートフォリオ
「eポートフォリオ」とは、部活や学校外の活動成果など、高校生活のさまざまな活動の記録をデジタル化して残すことができるシステム。
自分でつけた記録を、先生にもシェアすることができる。
日々の活動を振り返ることで、自分と向き合う力、思考力、判断力、そして自ら次の目標を立てて進む習慣につながる。
そのeポートフォリオは一生涯を通して構築する。小学校、中学校、高校のそれぞれの段階で先生が構築のサポートをする。友人からもフィードバックをもらう。
1つの線となったその子のストーリーは、就職試験や大人になってからの学びにおいても、自分を振り返ることを助けてくれる。