大人にも子どもにも豊かな情報・視野を
社会環境が変化すれば、人々の価値観が変わる
人々の価値観が変われば、社会的ニーズが変わる
社会的ニーズが変われば、必要な学びも変わる
歴史からみる社会の変化と人々の価値観の変化
この社会的流れに伴い、人々にとって重要な欲求は、次の1〜5へと変わっていった。
マズローの欲求段階説
★:自己超越の欲求 …自己を超えて、他者にも良い影響を及ぼしながら、自分も心から達成したい。
5:自己実現の欲求 …自己を成長させたい。実現させたい。
4:尊重の欲求 …他者から認められたい。
3:社会的欲求 …他者との関係。集団への帰属。
2:安全の欲求 …生命や収入の危険から身を守りたい。
1:生理学的欲求 …生存に必要な、衣食住が欲しい。
このような流れは、日本やその他諸国の経済発達段階と社会・人々の動きを見ていても、社会的に基盤が構築されてきたら、人々はさらに次の欲求フェーズに移り、個々の在り方、自己表現の手段が豊かになっていく傾向がある。
つまり、この歴史から見る人々の価値観の変化は、必然的な変化と言える。
そのほか、企業に関しても大きく同じようなことが起こりうる。
創業期・成長期(拡大期)・成熟期(安定期)・衰退期(再成長期)へと向かう中で、経営基盤が確保されている状況で、企業が策を打ち出していく視点は、自ずと時代に合わせて、他社との差別化を図る傾向にある。
歴史の流れというのは、課題の所在が「集団から個の魅力の構築へ」と変わっていく様子が伺える。
結婚観もキャリアの延長上に
昔の人は、パートナーの性格や価値観などに、そんなにこだわらなかったのでは?
女性は嫁いで、家事に専念。男性は働く。男と女の役割も社会的にはっきりしていた。
一緒にいて家にいれば食べていける。
相手の性格や価値観などを割り切れるロールモデルがあった。
パートナーの見つけ方もより時代を反映した視点が必要になる。
今は、みんなそれぞれ相手パートナーに求める価値観が多様化している。結婚の在り方も様々。
社会、家庭、夫婦のロールモデルが変化している。
社会は激変していく一方で、学校、結婚、夫婦の制度が古いと生きづらくなる。
昔:1つのロールモデルから脱している人がマイノリティという概念。
今:マイノリティ、マジョリティの区別が徐々になくなってきている。
むしろ、みんなと一緒が安心な時代から、苦しい時代に…
これからの時代を生き抜くために
変化の激しい時代を生き抜くためには、社会の古き常識に縛られずに、柔軟に情報を得て、自分の内面を見つめて、自分のビジョンを描いていくこと。
まとめ
- 国や企業の成長歴史にも現れているように、画一から個の時代への流れは必然的です。
- しかし、制度や文化、人の価値観、固定概念の古さによって、人の生きにくさを諸分野で生じさせています。
- 今、生き生きしている人は、その古さに縛られずに行動していて、イキイキと楽しそうに仕事をしています!
私たちそれぞれのSTORY
阿部のテーマ『既存の固定概念に縛られない』
高校時代〜大学:とりあえず大学にいけば幸せだろう。
就職して私立中高の教師に:生徒たちを難関大学へ合格させることが第一だ。
生徒たちに細かく厳しい校則を守らせなきゃいけない。
しかし・・・本当に伝えたい社会の流れが伝えられないというジレンマもあった。
固定概念に縛られずに、多様な考え方に触れる必要性。
新しい価値観・情報に触れることで、自分のことも新たに発見できる。
多様な他者を知ることが、自己理解に繋がる。
・学校や社会の制度について
・教育現場から、民間に入ったからこそ見えてきたこと。
ex.日本と海外のカリキュラム・制度の比較
ex.塾は変わりやすいが、学校は変わりにくい事実。
中村のテーマ『自分らしく生きる』
高校時代〜大学:周囲の大人に教わってきたこと 「いい大学、いい就職、いい結婚が幸せ」
その「いい」基準って何??
きっと偏差値のことを意味しているんだろうなと解釈。
周囲の大人の言うとおりにしてたら困らないんだろうな。
こだわりを持って進路を選んでいなかった。
とりあえず知っている大学で安泰そうなところを目指そう。
就職してから:人生のこれからの様々な目標、幸せの形は自分で決めていかなければ。
どうしたら幸せになれるかは、人が決めることではない。
海外の大学、働き方、生き方、様々な選択肢の魅力を早いうちに教えて欲しかった・・・
「自分と深く向き合う力」と「自分の意思で選択する力」を持つことがキーポイントになる
高校生の気持ち、目線に寄り添うこと。
延3000人以上の高校生の進路カウンセリングの経験から見えてきたこと。
これからの未来がわくわくするような楽しいことを共有してあげたい。
多様な生き方で活躍している人を見せてあげたい。
高校生たちの進路選びの課題に向き合い続けた結果、考えること
高校生たちの進路選びの課題に向き合い続けた結果、考えること
あ〜なるほど・・・。与え過ぎるのも違うということでしょうか。
なんだか無気力で、どうして情報が入らないのかな…と思っていたら、足りなかったのが「体験」だったんです。例えば、看護体験で、リアルな患者さんと接して、失敗なども経験して、大きな衝撃を受けるようなことがあれば、学ぶ気になるか、諦めるかという選択ができる。だから、実際の体験をやらなければ、情報って入っていかないんじゃないかなって気が付きました。
確かに、実際に体験するのが、何よりも自分の中で合う合わないの実感値が上がりますよね。
はい。なので仮に情報格差が改善されても、体験格差というものが立ちはだかっている気はしますね。富裕層は、小さい時から様々な体験もさせてあげられますけどね。
うーん、そうですね。それに体験が必要と言っても、体験は単発的なものではなくて、より現場に密接に入り込んでできるものでなくてはならないですよね。
そうですね。単発的なものだと、その時見た部分でしか捉えられなくて、1回で安易に、楽しい!とか、つまらない…という感情を持ってしまいますからね。さゆりさんは、高校生に体験をさせたいという思いは持ったことありますか?
専門学校を退職して、独立する時に、ちょうど体験をさせることについて考えていました。ただ、体験をさせる職業の数にも限界はあるので、その道のプロとたくさん会わせるということや、様々な仕事にスポットライトを当てるTV番組を見せることを考えていました。①様々な職業や人の情熱、価値観に触れることでたくさんインプットして、②働くってどういうことかを自分なりに考えて、③自分の内面を見つめる。 これの繰り返しが必要なんだろうなと私は考えていました。
インプットが結局は重要ですよね。僕は、物事には①知る→②わかる→③できる→④使えるというステップがあると思っています。今の時代、全部の職業を体験させるのは不可能なんでしょうけど、知るという意味では、表面だけでもインプットさせるのは価値があると思います。
そうですね。何か情報をインプットするということが価値ですよね。仰るように量的にもすべてを知るのは不可能なので、私としては自分の内面から探る力の方にも焦点を充てるべきと考えています。今ある仕事も数年後、数十年後には無くなったり、変わったりしていく可能性が高いです。なので枠にあてはめるのではなく、自分ができることや自分がワクワクすること、感情に向き合っていくことや、世の中のニーズへのアンテナを張ることが有効だと思います。内観力ですね。もちろん、様々な職業や人の価値観のインプットもしつつ行うのがベストだと思います。
なるほどね〜。まさに今さゆりさんがやっていることですよね。さらに言えば、その世の中のニーズへのアンテナを張るにしても、古風な価値観ではなくて、今の子どもたちが生きて行く時代に必要なニーズの考え方を教えるべきですよね。子どもたちはまだ気づいていないけど、社会が教えるべき時代のニーズです。
確かに、子どもたちがニーズを捉えるためにも、時代の流れと、様々な人の働き方や価値観のインプットによるベース作りが不可欠ということですね!
そうですね。何者でもない自分だからこそ、自分の色を決めて、生きて行けるようになっていってほしいです。そのためには、まず生き生きしている社会の大人たちを見せてあげたいですね!!
いいですね!確かに、職業からの興味以上に、子どもたちの眼に映る「面白い」とか「魅力的」な大人から受ける影響の方が強いんじゃないですかね?
予備校の先生がすごくイキイキした面白い人だったら、みんなその職業に憧れたりするものです。(笑)ではまず、僕たちが高校生たちをサポートするにあたって、自分たち自身の生きてきたストーリーを見つめて整理しましょうか。
そうしましょう。自分たちが出会った素敵な大人たちの話や経験など、高校生がまだ見ぬ未知のプロセスを楽しく語りましょう!
今の高校生たちの進路の選び方について感じること
今の高校生たちの進路の選び方について感じること
お仕事で出会う高校生の進路選びってどんな感じですか?^^
今のIT系の会社で教育に携わっていて、 高校生がよく来てくれたりします。 話していると、この子たち進路大丈夫かな〜? っていうのは確かに思うんですけど・・・、 でもその一方で、僕も高校時代そんなに進路の軸は決まってなかったなって思うんですよね。
そうなんですね!気になる(笑)
文理選択の前に自己分析するじゃないですか。そのときの自己分析はすごく薄いものでした(笑)バスケ部だから→体力ある→消防士?という考え方でした。
高校生の時って、進路の考え方がわからないから、とりあえず部活から派生して探すことをしますよね。実際、私の場合もそこまで深く考えられてなかったです。
そう。自分を振り返る方法もわからず、そもそも情報量が本当に少なかったんですよね。
なるほど。地方も都心部も、学校の情報量は限られる傾向にはあると思います。与えられたものの中から選ぶのが今の高校生の進路の決め方ですしね。私も専門学校で高校生のキャリアカウンセリングの仕事をしていると、昔の自分と重なる部分があるなと思う一方で、「これから生きて行くためにはこの進路選択のままじゃだめだ。何か変えていかなきゃ。」という気持ちになりました。
そうですね。僕の地元の新潟には専門学校がたくさんあるんですけど、自分が何をしたいかということはあまり考えずに、ある中から楽しそうな好きな専門学校を選ぶという傾向でした。最近でこそ、新潟も進学率が上がってきて、大学も増えたことで、学力重視で大学への進学を意識することが増えたようですけど、偏差値・学力重視という考え方も少し古いように感じます。大阪もその傾向はありますよね?
同じ傾向に感じます。大学を選ぶ時も、何をしたいかとか学部は構わずに、大学名やブランド力で選ぶというのも引っかかる部分です。私の同級生にも、勉強を頑張って大学に進学したものの、大学生活が自分の思っていたものと違って通わなくなってしまうような人もいました。大学卒業後の就職にも、大学生活のことが生かせないことに対してもとても勿体ないなと感じます。なので、高校卒業後の進路を考える際に、学力・偏差値に囚われるのではなくて、自分を見つめる力が豊かになってほしい思いです。